骨の成育に関係する“低ホスファターゼ症”という疾患を知っていますか?
低ホスファターゼ症は、生まれつき体内のアルカリホスファターゼという酵素の働きが悪かったり、働かなかったりするために、歯や骨を中心にさまざまな症状があらわれる病気です。
珍しい疾患ですが、正しく診断されれば適切な対応法があります。

まずは、お子さんに、低ホスファターゼ症で
よくみられる特徴的な歯の症状がないかチェックしてみましょう。

4歳になる前に乳歯が抜けた、グラグラして抜けそう
はい いいえ
抜けた歯の根が長い

1つでも“はい”に当てはまる場合、
低ホスファターゼ症の可能性があります

抜けた歯や下記の新聞掲載記事を持参して、
小児歯科にご相談ください。

監修:大阪大学大学院歯学研究科 小児歯科学教室 教授 仲野和彦 先生

新聞掲載記事のご紹介

2018年6月9日付の読売新聞に「低ホスファターゼ症(HPP)」に関する記事が掲載されました。

左の画面はこちらからオリジナル版をご覧いただくことができます(PDF)。

幼児期 歯の変化注意

愛知県に住む中学2 年生の男子(13)は、1歳8か月で下の前歯が動き、抜けた。骨や歯の形成に異常が起こる低ホスファターゼ症だった。医師にもあまり知られておらず、潜在的な患者もいるとみられる。幼児期の歯の変化から早期発見できるので、適切な診断法を広める取り組みが始まった。

「かわいらしい歯が生えて喜んでいた直後だったので、ショックでした」。
男子の母親(47)は振り返る。歯科医院では「ぶつけたのでは」、周囲からは「栄養不足ではないか」などと言われた。いくつかの医療機関を回り、半年後にようやく診断がついた。

当初、抜けるのは乳歯だけで永久歯に及ぶ可能性は低いと言われたが、今は永久歯で抜けた歯もある。義歯(入れ歯)を使い、硬い物はなるべく食べない。歯の状態は刻々と変わり、そのたびに義歯を作り直したり調整したり。そのため義歯がない状態で外出しなければいけない日もあり、見た目の問題も気になる。

10万〜15万人に1人

低ホスファターゼ症は、骨の強さや成長にかかわる酵素「アルカリホスファターゼ(ALP)」の働きが弱いために起こる難病。10万〜15万人に1人の割合で発症する遺伝性の病気だ。親に症状がなくても、子どもに出ることがある。

重症の場合、胎児期に胸骨や背骨、肋骨などがうまく育たず、呼吸困難になる人もいる。出生後も体重が増えなかったり、足がわん曲していたりする。2015年、酵素補充療法薬が承認され、治療できるようになった。

一方、症状が軽い場合は骨粗しょう症など他の病気と間違えられる患者がいることが専門家の間で認識され始めた。適切な治療を受けなければ重症化する可能性があり、専門の医師への受診が重要だ。

乳歯が早く抜ける

骨の病気が専門で、大阪大学病院小児科教授の大薗恵一さんは、「専門的に診られる医師は決して多くない。ただ、歯の病状に注目すれば、早期に疑いのある患者を見つけられる」と指摘する。

一般的に乳歯は6歳頃から永久歯に生え替わり始めるが、低ホスファターゼ症の子はそれより早く歯がぐらついたり抜けたりする場合が多い。歯と歯の骨との接着部分にあるセメント質が作られにくいために起こるとされ、抜けた歯の歯根が長いのが特徴だ。

一般の歯科医には、この病気の知識が乏しい人も多い。また、ALP値は血液検査で簡単に分かるが、大人と子どもで基準が違うため、正しい診断や治療を行うには専門の医師に診せる必要がある。

同大歯学部付属病院小児歯科教授の仲野和彦さんらは、地域の歯科医らに外来や検診で疑いのある子がいないか意識するよう呼びかけている。

同病院では大薗さんと連携して診療しており、現在、約15人の患者がいる。

この取り組みは他の地域にも広がる。静岡県沼津市は、同市歯科医師会の協力で、2歳児歯科健診の問診票に、歯がぐらついたり抜けたりしていないかを問う項目を今年度から追加した。仲野さんは「早い時期にこの病気だとわかれば、症状を改善する治療を受け、病気とうまくつきあっていけるはず」と話している。

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